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MDGRAPE コンテンツの開発(Contents development for MD Grape)

ORIHALCON Project の銀河衝突シミュレーター分子運動シミュレーターでも利用している専用計算機 MDGRAPE についての解説です。

MDGRAPEとは

MDGRAPE とは分子動力学専用に開発されたPC加速用のボード総称で、PCIインタフェースによりPC(ホストコンピューター)に接続されます。このボードには 1999年に完成した MDGRAPE-2 と2005年に完成した MDGRAPE-3 の2種類があります。

MDGRAPE-2の開発

理化学研究所(理研)とIBM Research Division(ワトソン研究所)は、1996年から数年間協力して数百万粒子を対象とした分子動力学シミュレーション(Molecular Dynamics : MD)で全ての原子間に働く力を高速に計算するための専用チップを開発してきました。このような数百万粒子を使ったMD計算は、これまでの計算機の能力を超えてしまうからです。このチップは理研で開発された 78 Teraflops の能力(1秒間に78兆回の演算を行なう能力)を持つMDM(Molecular Dynamics Machine)と呼ばれるコンピューターの計算エンジンとなっています。このコンピューターはパソコンの10万台分の能力を持つことになります。 MDGRAPE-2 チップは、IEEE主催の Supercomputing Conference で1995年・1996年にゴードン・ベル賞を受賞した計算で使用されたGRAPE チップをもとにしています。MDGRAPE-2 を使用した計算は2000年に Peak Performance 部門で同賞を受賞しました。MDGRAPE-2 の高速性はさまざまな工夫を組み合わせることにより達成されています。

MDGRAPE-3の開発

MDGRAPE-2 の後継機である MDGRAPE-3 は、理研ゲノム科学総合研究センターにて開発されました。MDGRAPE-3チップを5千個弱搭載した MDGRAPE-3 システムは、2006年6月に世界で最初に1Petaflops を達成しました。これはその時の世界最高速のスーパーコンピュータの約3倍のピーク速度になります。MDGRAPE-3 チップを2個搭載した PCI-X カードは330 Gflops の速度を持ち、これはMDGRAPE-2 ボードの約5倍の速度であり2005年から販売されています。

MDGRAPEコンテンツの開発

ユニバースライブショーでは、1996年の立ち上げ当時から MDGRAPE を利用したリアルタイムシミュレーションをライブショーの特徴のひとつとして上演してきました。銀河同士の衝突をその場で実験する銀河衝突シミュレーターと、食塩(NaCl)の結晶や水分子の振る舞いを原子レベルのミクロの視点で再現する分子運動シミュレーターは、Windows のPCに接続された MDGRAPE2 ボードによってリアルタイムなシミュレーションを実現しています。

スクリーンショット>

銀河衝突シミュレーター 分子運動シミュレーター MDGRAPE2ボード

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外部リンク

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